顧問税理士は毎月何をする?訪問の中身と頻度をわかりやすく解説
顧問税理士と契約したものの、毎月いったい何をしてくれているのか、実はよく分からないという声は少なくありません。資料を渡しているのに反応が薄い、毎月来ると思っていたのに連絡がない、面談では世間話で終わってしまう。そんなもやもやを抱えたまま顧問料を払い続けている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、顧問税理士が毎月行っている具体的な仕事の中身から、訪問あり・なしの違い、毎月来ないのは手抜きなのかという誤解、面談で話すべき内容、そして自社に合った訪問頻度の選び方までをまとめて解説します。読み終えるころには、自社の顧問契約で何が起きているのかが見え、税理士との付き合い方を見直すきっかけが持てるはずです。
顧問税理士が毎月やっていること|月次業務の中身
月次処理と試算表の作成が土台になる
顧問税理士の毎月の仕事の中心は、月次の数字をまとめて経営状態を見える化することです。会社から渡された通帳や請求書、領収書などをもとに、その月の取引を会計データに反映し、月次試算表という形に整えます。試算表は、売上や経費、利益が今どうなっているかを示す、いわば会社の月単位の健康診断書です。
この月次処理を毎月積み重ねておくことで、決算のときに一年分をまとめて慌てる必要がなくなります。さらに、利益が出ているのに資金が足りない、特定の経費が膨らんでいるといった異変にも、早い段階で気づけます。決算後に数字を見て驚くのではなく、期中に手を打てるのが月次処理の最大の価値です。
会計チェックと記帳のサポート
記帳を自社で行っている場合、税理士は入力された仕訳が正しいかをチェックします。勘定科目の使い方が適切か、消費税の区分が合っているか、計上漏れがないかなどを確認し、誤りがあれば修正の指示を出します。会計ソフトと銀行口座を連携していても、判断が必要な取引は人の目を通す必要があります。
記帳を税理士に任せている場合は、資料を受け取って会計データを作成する作業そのものが毎月の業務になります。どこまでを自社でやり、どこからを税理士に任せるかによって、毎月の仕事の量も顧問料も変わります。自社の経理体制に合った分担を整理しておくことが、無駄のない契約につながります。
税務相談と経営アドバイス
数字をまとめるだけが顧問税理士の仕事ではありません。月次の数字を見ながら、利益が想定より少ない原因や、節税の余地、資金繰りの見通しについて助言するのも大切な役割です。設備投資のタイミングや、人を雇うべきかといった経営判断についても、税務や会計の観点から相談に乗ってくれます。
こうした伴走があるかどうかで、顧問契約の満足度は大きく変わります。単に申告書を作るだけの相手なのか、それとも経営を一緒に考えてくれる相手なのか。顧問税理士がどこまで対応してくれるのかは、こちらの記事「税理士はどこまでしてくれる?業務範囲」で整理しています。あわせて確認しておくと、自社の期待値を調整しやすくなります。
税理士は本当に毎月来るのか|訪問あり・なしの違い
毎月訪問する顧問契約の特徴
顧問税理士の関わり方には、毎月会社を訪問するスタイルと、訪問せずにやり取りするスタイルがあります。毎月訪問する契約では、税理士や担当者が会社に足を運び、月次の数字を対面で報告し、その場で経営者の相談に応じます。顔を合わせて話せる安心感があり、現場の空気を踏まえた助言を受けやすいのが利点です。
一方で、訪問には移動の時間と人件費がかかるため、その分だけ顧問料は高めになる傾向があります。毎月の対面が本当に必要なのか、それとも数ヶ月に一度で十分なのかは、会社の状況によって異なります。訪問の有無だけで良し悪しは決まらないという点を、まず押さえておきましょう。
訪問なし・オンライン中心のスタイル
近年は、クラウド会計の普及によって、訪問なしでオンライン中心に進める顧問契約も増えています。会計データをクラウドで共有すれば、税理士はわざわざ訪問しなくても、リアルタイムで会社の数字を確認できます。相談はオンライン面談やチャット、メールで行い、必要なときにすぐやり取りできる体制を取ります。
このスタイルは、移動コストがかからないぶん顧問料を抑えやすく、距離の離れた税理士とも契約できるのが強みです。ただし、対面でないと伝わりにくい話もあるため、すべてをオンラインで完結させるのが向かない会社もあります。自社が対面とオンラインのどちらに価値を感じるかで、選び方は変わってきます。
どちらが自社に合うかの見極め方
訪問ありとなしのどちらが合うかは、経理体制と相談したい頻度で決まります。社内に経理担当がいて数字の把握ができている会社なら、訪問なしでも問題なく回せることが多いです。逆に、経理に不慣れで対面で教えてほしい、創業まもなく相談事が多いという会社は、訪問ありのほうが安心できます。
距離の近さを重視するなら、訪問しやすい近隣の税理士を選ぶという考え方もあります。この観点は、こちらの記事「税理士は近い方がいい?距離は関係あるか」で整理しています。あわせて押さえておくと、訪問スタイルとの相性が見えてきます。大切なのは形式そのものではなく、必要な支援が必要なタイミングで受けられるかどうかです。
「毎月来ない=悪い税理士」は本当か
訪問頻度と仕事の質は別物
毎月来ないから手を抜かれているのではないか、という不安を抱く経営者は少なくありません。しかし、訪問の回数と仕事の質は必ずしも一致しません。毎月訪問していても世間話で終わってしまう税理士もいれば、訪問は数ヶ月に一度でも、的確な数字の報告と提案をくれる税理士もいます。
本当に見るべきは、来る回数ではなく中身です。月次の数字をきちんと処理しているか、異変があれば連絡をくれるか、相談したときに頼りになる答えが返ってくるか。これらが満たされていれば、訪問が毎月でなくても、顧問税理士としての役割は十分に果たされていると考えられます。
契約内容に訪問頻度が含まれているかを確認
毎月来ないことに不満を感じる場合、まず確認したいのが、そもそも契約に毎月訪問が含まれているかどうかです。顧問契約には、訪問の回数や面談の頻度がそれぞれ定められています。月次訪問を前提とした契約なのに来ないのなら問題ですが、もともと年数回の面談という契約なら、来ないのは契約どおりということになります。
思っていた頻度と実際の契約にずれがあるなら、それは認識のすり合わせ不足が原因かもしれません。契約書や見積もりを見直し、どこまでが顧問料に含まれているのかを改めて確認しましょう。そのうえで頻度を増やしたいなら、追加の費用も含めて相談するのが筋道です。
不満があるときの伝え方
もし顧問税理士の対応にもやもやがあるなら、我慢して抱え込むより、率直に伝えるのが解決の近道です。毎月の数字をもっと分かりやすく説明してほしい、相談に早く反応してほしいといった要望は、伝えてみると改善されることがよくあります。相手も、何に不満を感じているかが分からなければ動きようがありません。
そもそも顧問料を払う意味が見えないと感じているなら、その費用が何への対価なのかを理解し直すことも大切です。この点は、こちらの記事「税理士に顧問料を払う本当の理由」で整理しています。読んだうえで自社が求める支援とのギャップを見つめ直すと、伝えるべきことが明確になります。それでも改善しなければ、契約の見直しを検討する段階です。
毎月の面談で話すべき内容とは
月次の数字を一緒に読み解く
毎月の面談で最初に確認したいのは、その月の試算表です。売上は計画どおりか、利益はどう推移しているか、想定外に増えている経費はないか。数字を眺めるだけでなく、なぜそうなったのかを税理士と一緒に読み解くことで、経営判断に使える情報に変わります。数字の背景を言葉にしてもらうことが、面談の価値です。
面談を有意義にするには、経営者の側からも疑問をぶつける姿勢が欠かせません。この数字はなぜ増えたのか、このままいくと年度末はどうなるのか。問いを持って臨むほど、税理士からも踏み込んだ説明や提案を引き出せます。受け身で聞くだけでなく、対話の場として使うのがコツです。
資金繰りと納税の見通しを共有する
面談では、目の前の数字だけでなく、これから先の見通しも話しておきたいところです。とくに資金繰りは、利益が出ていても手元の現金が足りなくなることがあるため、先を見越した確認が欠かせません。数ヶ月後の入出金の予定を共有しておけば、資金が不足しそうな時期を早めに察知できます。
納税の見通しも、面談で押さえておくべき重要な論点です。決算期が近づいてから慌てるのではなく、期中の段階で納税額の見込みを把握しておけば、納税資金の準備や節税対策を計画的に進められます。お金の流れを前もって共有することが、経営の安定につながります。
経営の悩みや今後の計画を相談する
面談は、税務の話だけに限る必要はありません。人を増やすべきか、新しい事業に踏み出すべきか、設備を入れ替える時期はいつかといった経営の悩みも、数字を分かっている税理士だからこそ相談できる相手です。判断材料となる数字を一緒に見ながら考えられるのは、顧問契約ならではの利点です。
税理士に何を相談していいのか分からないという場合は、相談できる範囲を知っておくと面談を活かしやすくなります。この点は、こちらの記事「税理士に相談できることは?個人ができる相談内容」で紹介しています。これを踏まえて自社が抱えている課題を棚卸ししておけば、限られた面談時間を無駄なく使えます。話すテーマを事前に準備することが、面談の質を高めます。
自社に合った訪問頻度の選び方
事業のフェーズで必要な接点は変わる
適切な訪問頻度は、会社のフェーズによって変わります。創業まもない時期や、急成長して数字が大きく動いている時期は、相談したいことが次々に出てくるため、毎月の面談が役立ちます。一方、事業が安定して数字の動きが読みやすくなれば、頻度を落としても十分に回せることが多くなります。
つまり、一度決めた頻度をずっと続ける必要はありません。忙しい時期は手厚く、落ち着いた時期は軽めにと、状況に合わせて調整するのが理にかなっています。今の自社がどのフェーズにいるのかを意識すると、必要な接点の量が見えてきます。
経理体制と相談したい量で決める
訪問頻度は、社内の経理体制とも深く関わります。経理担当者がいて日々の数字を把握できている会社なら、税理士の訪問は少なくても問題ありません。逆に、経理を経営者が一人で抱えていて不安が大きい会社は、頻繁に相談できる体制のほうが安心して経営に集中できます。
相談したいことがどのくらいあるかも、判断の材料になります。毎月のように経営判断が必要な会社と、年に数回確認できれば十分な会社とでは、求める頻度がまったく違います。自社が税理士に何を、どのくらいの頻度で求めたいのかを言葉にしてみると、ちょうどよい接点の量が定まります。
頻度と費用のバランスを取る
訪問頻度を増やせば手厚い支援を受けられますが、その分だけ費用も上がります。逆に頻度を絞れば費用は抑えられますが、相談したいときに間が空いてしまう可能性があります。大切なのは、自社にとって必要な支援を確保しながら、無駄な費用を払わないバランスを見つけることです。
頻度と費用の関係を考えるうえでは、顧問料の相場感を知っておくと判断しやすくなります。相場については、こちらの記事「税理士の報酬・顧問料の相場と料金表」で解説しています。これを目安にしつつ、訪問頻度をどう設定すれば妥当かを検討すると、納得感のある契約に近づきます。頻度ありきではなく、得たい成果から逆算して決めるのが賢い選び方です。
よくある質問
顧問税理士が毎月来ないのは普通ですか?
珍しいことではありません。近年はクラウド会計を使い、訪問せずにオンライン中心で進める契約も一般的です。問題は来る回数そのものではなく、契約で約束した頻度が守られているか、月次の数字が正しく処理され、必要な相談に応じてもらえているかです。契約内容を確認し、自社が求める支援と合っているかを見直してみましょう。
面談では何を話せばいいですか?
その月の試算表をもとに、売上や利益の状況、気になる経費、資金繰りや納税の見通しを確認するのが基本です。さらに、人を雇うべきか、設備投資の時期はいつかといった経営の悩みも、数字を分かっている税理士に相談できます。事前に話したいテーマをメモしておくと、限られた時間を有効に使えて、面談の満足度が高まります。
訪問なしの契約でも経営相談はできますか?
できます。訪問なしでも、オンライン面談やチャット、メールを通じて経営相談に応じる税理士は多くいます。クラウドで会計データを共有していれば、税理士はリアルタイムで数字を確認できるため、対面でなくても的確な助言が可能です。大切なのは訪問の有無ではなく、相談したいときにすぐ反応してもらえる体制があるかどうかです。
まとめ
顧問税理士が毎月行っているのは、月次処理と試算表の作成、会計チェック、そして税務相談や経営アドバイスです。訪問のスタイルには毎月訪問するものと、オンライン中心で訪問なしのものがあり、どちらが良いかは経理体制や相談したい頻度によって変わります。毎月来ないこと自体が悪いわけではなく、見るべきは仕事の中身です。
毎月の面談では、数字を一緒に読み解き、資金繰りや納税の見通しを共有し、経営の悩みを相談することで、顧問契約の価値を引き出せます。訪問頻度は事業のフェーズや経理体制、費用とのバランスで選ぶこと。形式にとらわれず、自社に必要な支援を必要なタイミングで受けられる関係を築くことが、税理士を活かす一番のポイントです。


