利益1000万円の法人税はいくら?税金の内訳と概算の計算方法

「利益(課税所得)が1,000万円出そうだけど、税金はいくら持っていかれるのか」。決算が近づくと、多くの経営者が最初に気にする数字です。結論から言うと、利益1,000万円の会社にかかる税金(法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税の合計)は、概算でおよそ250万円〜280万円程度が目安になります。手取りに換算すると、利益のうち7割強が会社に残る計算です。

ただしこの金額は、資本金や会社の所在地、役員報酬の設定によって変動する「概算」です。この記事では、法人税の基本的なしくみから、利益1,000万円にかかる税金の内訳、金額をコントロールする方法、個人事業主との比較、納税のスケジュールまでをまとめて解説します。

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法人税の基本:軽減税率と800万円のライン

税金の内訳を見る前に、法人税の基本的なしくみを押さえておきましょう。ここを理解しておくと、なぜ利益1,000万円の税金が単純な掛け算にならないのかが分かります。

法人税は「利益」ではなく「所得」にかかる

法人税は、決算書上の利益そのものではなく、税務上の調整を経た「所得(課税所得)」にかかります。交際費の一部や役員賞与の扱いなど、会計上は費用でも税務上は経費として認められない項目があるため、決算書の利益と課税所得は完全には一致しません。この記事では便宜上「利益1,000万円=課税所得1,000万円」として概算を説明しますが、実際の税額は自社の申告書で確認する必要があります。

所得800万円を境に税率が変わる

中小法人(資本金1億円以下が目安)には軽減税率が用意されており、所得のうち800万円以下の部分には低い税率、800万円を超える部分には通常の税率が適用されます。この結果、法人にかかる税金全体の実効税率(所得に対する税負担の割合)は、所得800万円以下の部分では約23%前後、800万円を超える部分では約33%前後になるのが目安です。利益1,000万円の会社は、ちょうどこの「軽減税率が適用される部分」と「通常税率が適用される部分」の両方にまたがる規模だとイメージしてください。

利益1,000万円にかかる税金の内訳(概算)

利益(課税所得)1,000万円の会社にかかる税金は、法人税だけでなく複数の税目に分かれています。それぞれの目安は次のとおりです。

税目概算目安補足
法人税約165万円800万円以下の部分は軽減税率、超過分は通常税率
地方法人税約17万円法人税額に対して課税
法人住民税(均等割含む)約19万円均等割は赤字でも年約7万円が最低ライン
法人事業税等約50万円所得に応じて課税。自治体・業種で変動
合計目安約250万円〜280万円資本金・地域により前後する概算

合計すると、利益1,000万円に対しておおむね25%〜28%程度が税金として出ていく計算です。手元に残る利益は1,000万円のうち約720万円〜750万円程度、というイメージになります。これはあくまで概算であり、実際の金額は次の見出しで説明する要因によって変わります。自社の正確な税額を知りたい場合は、決算前のタイミングで税理士に試算を依頼するのが確実です。

参考までに、利益500万円や2,000万円の場合の合計税額の目安も並べると、規模による違いが見えてきます。利益500万円なら軽減税率の範囲に収まるため負担率は低め、利益2,000万円になると800万円超部分の割合が増えるため負担率はやや上がります。

利益(課税所得)税金合計の概算目安負担率の目安
500万円約115万円〜130万円約23%〜26%
1,000万円約250万円〜280万円約25%〜28%
2,000万円約570万円〜630万円約29%〜32%

いずれも資本金や自治体によって変動する概算です。利益が800万円のラインをまたぐほど、超過分に通常税率がかかる割合が増えるため、負担率は緩やかに上がっていきます。

内訳が「概算」になる理由(変動要因)

上記の表はあくまで目安であり、実際の税額には幅があります。主な変動要因は次の3つです。

資本金や会社の規模で税率が変わる

軽減税率や事業税の軽減措置は、資本金1億円以下の中小法人であることが前提になっています。資本金の額や、同じグループ内に大規模な法人がある場合などは適用条件から外れることがあり、その場合は税額が表の目安より大きくなります。設立時の資本金を決める段階から、将来の税負担まで意識しておくと安心です。

自治体によって均等割・事業税率が違う

法人住民税の均等割は資本金と従業員数で段階が決まり、法人事業税の税率は都道府県ごとに標準税率と超過税率が設定されています。本店所在地や事業所を置く自治体によって、同じ所得でも税額が数万円単位で変わることがあります。特に複数の都道府県に事業所を持つ会社は、按分計算が必要になる点も押さえておきましょう。

「利益」と「税務上の所得」はイコールではない

決算書上の利益が1,000万円であっても、交際費の損金算入限度額や減価償却の調整、各種引当金の扱いなどにより、税務上の所得は増減します。利益をそのまま所得として税額を見積もると、実際の納税額とズレが生じることがあるため、この記事の数字はあくまで「大まかな目安」として捉えてください。

役員報酬の設定で課税所得はコントロールできる

「利益1,000万円」という数字自体、実は会社側である程度コントロールできます。その代表的な手段が役員報酬です。役員報酬は会社にとって経費(損金)になるため、報酬を多く設定すればその分だけ会社の利益(課税所得)は圧縮され、法人税等の負担は軽くなります。一方で、役員個人には所得税と住民税がかかるため、法人と個人のどちらに利益を残すかは、トータルの税負担で比較する必要があります。

目安としては、法人の実効税率が所得800万円以下でおおむね23%前後、個人の所得税は所得税5%〜45%に住民税10%が重なる累進課税です。個人の所得が低いうちは個人側の税率のほうが低いため役員報酬を厚めに、個人の所得税率が法人の実効税率を上回ってくるあたりからは法人に利益を残すほうが有利になりやすい、という関係になります。この境目を毎年見極めて役員報酬を調整することが、法人の節税では最も基本的で効果の大きい手法です。

ただし役員報酬は、原則として期首から3ヶ月以内に決めた金額を1年間変更できません(定期同額給与のルール)。期の途中で「今期は利益が出そうだから報酬を増やそう」と自由に動かすことはできないため、決算の数ヶ月前の段階で当期の着地見込みを試算し、来期の報酬額を検討しておく必要があります。

例えば、税引前の利益が1,500万円出る見込みの会社を考えてみます。役員報酬を年500万円に抑えれば、会社に残る課税所得は約1,000万円となり、この記事の内訳どおり法人側の税金は約250万円〜280万円が目安になります。一方で役員報酬を年1,000万円まで引き上げれば、会社の課税所得は約500万円に下がり法人側の税負担は軽くなりますが、役員個人の所得税・住民税の負担が増えます。どちらが世帯全体で有利かは、家族の扶養状況や社会保険料の負担増分まで含めて比較しないと判断できません。

個人事業主で所得1,000万円の場合との比較

同じ所得1,000万円でも、個人事業主と法人とでは税金の計算のしかたが異なります。個人事業主の所得税は累進課税で、所得税率5%〜45%に住民税10%、業種によっては個人事業税(おおむね5%程度)が加わります。所得1,000万円の個人事業主では、所得税だけで実効的な負担率が20%台後半から30%台に達するケースが多く、住民税・事業税を合わせると法人の実効税率(所得800万円超部分で約33%前後)に近い、あるいはそれ以上になることも珍しくありません。

この所得帯は、個人事業主にとって「法人化を検討すべき」とされる目安(所得600万円前後から検討、800万円超なら多くのケースで有利)を超えています。ただし法人化すると社会保険加入や均等割年約7万円などの固定コストも増えるため、単純な税率比較だけでなく、社会保険料も含めたトータルの手取りで判断することが大切です。個別の数字を比較したい場合は、法人化シミュレーションで確認することをおすすめします。

なお、すでに法人として利益1,000万円を計上している会社が「もっと個人に近い形にできないか」と考えることは基本的にありません。法人化の損得を比較する場面は、個人事業主がこれから法人成りを検討する段階がほとんどです。その意味で、この比較は「今の会社の税金が高いかどうか」よりも「これから法人化する人が知っておくべき前提」として読むのが実用的です。

納税のスケジュール:決算後2ヶ月と中間納付

税額が分かったら、次に把握しておきたいのが納税のタイミングです。法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税は、いずれも決算日から2ヶ月以内に申告・納付するのが原則です。3月決算なら5月末、12月決算なら翌年2月末が期限になります。利益1,000万円規模の会社では、決算後にまとまった資金が一度に出ていくことになるため、事前の資金繰り計画が欠かせません。

また、前年度の法人税額が一定額を超える会社には、決算年度の期中に「中間納付(中間申告)」が課されます。事業年度開始から6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に、前年度税額の半分程度を前払いする形です。中間納付があると、決算後の一括納税額はその分軽くなりますが、期中にも納税資金を用意しておく必要があるため、資金繰り表には決算月だけでなく中間納付の月も必ず組み込んでおきましょう。

利益1,000万円規模の会社が特に注意したいのは、「決算後2ヶ月」という期限の短さです。決算日をまたいでから納税額が確定するまでの間に、試算表の作成、決算整理、申告書の作成という工程を挟むため、実質的に準備できる期間は1ヶ月程度しかありません。期限直前になって資金が足りないと気づくケースを避けるため、決算月の2〜3ヶ月前の時点で概算の税額を試算し、納税用の資金を口座に確保しておくことをおすすめします。

よくある質問

利益1,000万円ちょうどだと、税金は必ず約250万円〜280万円になりますか?

あくまで概算の目安です。資本金の額、本店所在地の自治体、事業年度中の役員報酬や決算対策の内容によって、実際の税額は前後します。正確な金額を知りたい場合は、決算前に試算を依頼するのが確実です。

利益が出そうな時、決算直前でも税金を減らす方法はありますか?

決算月が近い場合でも、決算賞与の支給、必要な設備投資の前倒し、各種引当金や特別償却の活用など、選択肢はいくつかあります。ただし役員報酬そのものは期中に自由に変更できないため、翌期以降の報酬設計とあわせて検討するのが基本です。早めに税理士へ相談するほど、選べる選択肢は多くなります。

法人住民税の均等割は、赤字でも払う必要がありますか?

はい。法人住民税の均等割は所得の有無にかかわらず課される税金で、標準的なケースで年約7万円が最低ラインです。利益1,000万円の年だけでなく、赤字の年でも発生する固定費として資金計画に織り込んでおく必要があります。

まとめ:概算は目安、正確な数字は試算で確認する

利益(課税所得)1,000万円の会社にかかる税金は、法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税を合わせておよそ250万円〜280万円程度が目安です。ただし実際の税額は、資本金や自治体、役員報酬の設定によって変わる概算であることを忘れないでください。

ISJでは、決算を迎える前の段階で税額の試算と役員報酬の設計をあわせてご提案し、無駄のない納税計画づくりをサポートしています(顧問は月額15,000円から。記帳代行は20,000円から。全国オンライン対応)。「今期の利益が1,000万円に近づいてきた」という段階で、一度概算をご相談ください。

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